不動産を売りに出したけど
半年たっても1年たっても売れる気配がない・・。
不動産が売れないのは需要と供給が合っていないから
不動産にも「需要」と「供給」があります。
あらゆる商品にありますよね。
この2つがマッチすれば不動産は売れます。
需要はもちろん買い手ですね。
「うちの不動産に需要なんて無い、だから困ってる」とあきらめていませんか?
需要なんて無いことの方が考えづらいです。
それでは供給はどうでしょう?
あなた自身が所有している不動産ですね。
これが需要に対しての供給になります。
でもそれだけじゃないですよ。
あなたの不動産によほどの稀少価値がない限り買い手からすると数ある選択肢のうちの1つです。
供給は売りたい不動産と条件が類似する全ての不動産になります。
この需要と供給をどうやって釣り合わせるのか見ていきましょう!
どんな物件も値段次第
いきなりミもフタもなくて申し訳ないんですけどそれなりに面積がある「宅地」なら値段次第でどんな物件でも売れます!
山の中だろうが海の横だろうが。
もう本当に金額次第です。
極論ですが仮に売れないと困ってる不動産の価格が1万円ならどうでしょう?
誰か買うんじゃないですか??
個人で欲しいって人がいなくても業者が買います。
宅地なら。
そういうわけで不動産が売れない最大の要因は価格にあります!!
市場の需要に対して価格が高すぎるんですね。
少なくとも、
「この家がその値段なら買いたいな」
「あの土地がその金額ならお得だな」
と思ってくれてる人はいない状態です。
売れないなら値下げする。
不動産売却の基本です。
「そんなの当り前では?」って思う人も少なからずいるでしょう。
でもこれができない人が本当に多いんですよ。
なんででしょうね?
ありがちな理由
私がお会いしてきた売主さんたちの値下げしない理由として多いのは、
- 少しでも高く売りたいので売れるまで待ってみる
- ご先祖様から受け継いだ土地を安売りできない
- 売却額でローンの残債を全額返済したい
こんなあたりでしょうか。
1.の「少しでも高く売りたいので売れるまで待ってみる」。
これはまだ理解できますね。その下の2つに比べれば。
俗にいう”塩漬け”です。
確かに待ち続ければいつか売れるかもしれませんしね。
10年でも20年でも待っていれば。
待ってても売れないかもしれませんけど。
ちなみに売れる不動産が売却開始から成約までに要する目安期間は3ヶ月~6ヶ月です。
半年たっても売れない場合は値下げ、値下げが嫌なら次善策を講じるべきです。
待っててもまず売れませんよ!
2.の「ご先祖様から受け継いだ土地を安売りできない」。
この考えを持ってる方って意外と多いんですがこんなウェットな感傷は売買には何の関係もありません。
売却には邪魔なだけの感情論。
「親から受け継いだ思い入れのある土地なんで”売りません”」ならわかりますよ?
それなら売らずに所有し続ければ良いだけです。
でも売ることを決めて売却活動してるのに安売りできないというのはどうでしょうね。
これは売り主が売り値を安くすることに不満を持ってるだけ。
安売りかどうかは買い手や市場が決めることなので所有者が安売りと思ってても実は高価格なのかもしれませんしね。
実際に自分の不動産を過大評価している人って本当に多いです。
そしてその価格の根拠がない。
あっても客観性のない話ばかりです。
よく売り主の方がおっしゃるのは、
- 買ったときはこの価格だった(だから売る時もこの価格)
- 親からこの土地を売る時はこの金額でと言われた
- 知り合いがこの金額で自分の不動産を売ったと聞いた
- バブルの時は向かいの土地がこの坪単価で売れた
等々・・、昔の話・他人の話・客観性のない話しかしてきません。
こういうことを言う人にわかってもらいたいのは、売り主にとって大事な土地かどうかは買い主には関係ありません。
本当に売る気があるのならドライに売れる金額まで値下げするべきでしょう。
どんな商品でも市場に寄り添った価格設定にしていないと売れませんよね。
3.の「売却額でローンの残債を全額返済したい」。
・・・難しいでしょうね。
これ、軽く言ってくる方もいらっしゃいますが、買った金額で売るなんていうのは素人ワザではありません!
そういうことを実現できる人は購入時にいくらで売れるかも考えて購入されていますので。
よほど不動産市場に精通している人じゃないと不可能、そしてプロでも読みを外すときは外します。
普通の人は家を買う時にときにいくらで売るのか考えて買ったりはしてませんよね。
その後ずっと住むつもりで買うわけですから。
ハッキリ言ってローンの残債を帳消しにしたいなんてのも甘い考えです。
ローンていうのは借金ですから。
ローンを組んでいるということは借りた元に利息を払わないといけません。
例えば35年のローンを組んで10年もたってないぐらいの時期だと利息分ぐらいしか払えてません。
元金はマルマル残っているんですよ。
ローン残債を売却で消したいなんていうのは、その利息分も買い主に負担させるということになります。
自分の経験則から考えてみてください。
自動車に服飾品、本やスマホ・ゲーム等々、中古品を1度も購入・売却したことがない人はあまりいないでしょう。
中古売買の経験が「全くない」人って多くありません。
近年のネットオークション・フリマアプリの隆盛で中古品売買未経験の人はさらに減ったと思います。
そして中古車やフリマアプリの売買と不動産も同じなんですよ。
300万円で買った車に3年乗って下取りで同じ300万円で売れるでしょうか?
100万円で買った時計を5年つけた後、質屋で100万円で売れると思いますか??
レア物なら売れるかもしれませんね。
供給を上回る需要があるものです。
例えばポルシェやロレックスの人気モデルとか何年か前のジムニーなんかだと定価より中古市場の平均価格の方が高いものがあります。
では、あなたが売りたい不動産にそういう特別な付加価値がありますか?
あればもう売れています。
ないから売れ残ってるんです。
残念ですが購入時から準備をしていなければリセールで購入額を売却額が上回るなんていうのは夢物語、あきらめて購入額より低い金額で売って下さい。
こんな感じで自己評価が高くて売れない人はたくさんいらっしゃいます。
不動産が売れなくて困っている人は1度、本当に市場に合った売り値かどうかを再考してみてください。
市場を俯瞰してみる
上記の例に限らず自分の資産に価値がないって認めたくない人は本当に多いんですが、それは買い手には関係ない話です。
需要と供給のバランスが取れてないんですね。
本当に売りたいのであれば市場に基づいた客観的な価値を柔軟に受け入れて価格を設定していくしかありません。
需要と供給、買い主と売り主の天秤が均衡した時に売買は成立します。
価格は適正か
ところで不動産の売り出し価格はどうやって決めましたか?
複数の業者から査定をとって、単に1番高額な売り値を言ってきた業者の言うままにしていませんか。
業者の方も一社専任を取る為に売れそうにない高額の査定を出すところもあります。
今出している売値をその金額にした客観的な根拠はあるでしょうか?
近隣で売りに出されている不動産の価格は調べていますか。
近年の成約価格事例を確認したことはありますか。
他にはない自分の不動産の長所はありますか。
価格の設定はデリケートなもの。
100万円上下しただけでも売れるものが売れなかったり、ずっと売れなかったものがいきなり売れたりします。
業者に言われるままではなく、ご自身で調査してみてください。
市場の需給をつかんで適正価格を予想し、売却が見込める最高額を狙いましょう!
売れる不動産と売れない不動産
売れるか売れないかは1番に値段です。
が、もちろん商品価値があるかどうかも大きな要素です。
静かで子供が多くてお店や学校が近い、日当たりも地形も良く新しく家を建てるのに最適・・。
そんな風に大きな魅力のある物件なら多少高くても売れますよね?
では逆に魅力がないのはどんな物件でしょう。
下に挙げていくものに当てはまったら残念ながら普通の市場価格では売れません。
早急に売却価格の見直しをはかりましょう。
そこに建物は建つか
不動産の資産価値は多くの場合、建物よりも土地にあります。
そしてその土地には建物が建つかどうかが大きいです。
もちろん建物が建たない土地なんてのはまともな金額では売れません。
また施設等は建つけど家は建てられなかったりしないか。
家が建たない土地というのは購入者が限られてくるのでそれだけでも大きなネックになります。
売ろうとしている土地は建物が建ちますか?
普通の人は自分の土地に建物が建たない可能性を考えていません。
不動産屋や役所等に指摘されてから、あるいは自分で調べてみてから初めてその土地に建物が建たないことを知ります。
もしかしたら自分の土地は建物が建たないかもしれないと思うと気になりますよね?
ここでは建物が建たない土地をみていきましょう!
市街化調整区域か
市街化調整区域は、建物を建てるのに条件が必要な場所です。
なんで条件をつけるかというと農地や山林といった1次産業用地を保護するため。
無計画にどこもかしこも住宅地や商業地にすると自然が消えるからですね。
都市計画に沿った街づくりとかいうものです。
この市街化調整区域では建物が建たない、あるいは建てるために条件をクリアしないといけない可能性があります!
具体的には開発許可と建築許可がすでに得られている、または手続きをすれば得られるかどうか。
土地の開発(土地を建物が建つような土地に直すこと)の許可、建物の建築の許可がなければ建物は建てられません。
当然、建物が建たない土地では売り物にはなりません。
よく売買の対象になっているもので開発許可がおりにくいのは「農地」ですね。
次はその”農地”について説明していきます!
農業用地か
建物が建たない土地で1番メジャーなのが農地でしょう。
農地と山は日本中どこにでもあります。
で、農地にも種類があって建物が建つものと経たないものがあるんですけど困るのは建物が建たない農地。
農地で建物が建たない土地なんてのは駐車場や太陽光発電用地ぐらいにしか使えません。
しかも太陽光も補助金が湯水のように湧いて出た一昔前に比べると下火になりつつあります。
農地以外にも山とか森とか資産価値がゼロに近く売れないので、処分に困って隣地の人にタダでもらってもらうとか、大して税金がかからないので仕方なく所有し続けてるという人を何人も見てきました。
農地を売るには家が建つかどうか、農地に家を建てるならまずはエリアの確認です!
農地には甲種農地と第1種~第3種農地があり、甲種・第1種・第2種・第3種の順に建物を建てるハードルが高いです。
家を建てる場合、甲種・第1種は非常に厳しく(というかほぼ無理)、第2種は要件さえ満たせば可能、第3種は申請が必要なぐらいでほぼフリーです。
次に白地か青地か。
白地は「農業振興地域内農用地区域外農地」の通称、
青地は「農業振興地域内農用地区域内農地」の通称。
青地は”これからも農業用地として使用していきましょうね”というエリア。
白地は農業振興地域内で青地になってない部分。
つまり「白地農地は農業用地から住宅用地に転用できます」。
青地農地は原則不可です。
農地でも白地で農振エリアから除外してもらい転用の許可がおりれば家を建てることができます!
農地を売るためには宅地に転用できるのかを事前に調べておきましょうね。
エリアや白地・青地の確認は簡単で自治体の窓口に行って場所を伝えれば調べてもらえます。
自治体によって違いますが一般的には農林水産課、耕地課とか農業委員会あたりでしょうか。
(自治体によっては個性的な部署名もあります)
わからなくても総合案内で聞けば教えてくれますよ。
農振除外や転用の手続きは行政書士に依頼してください。
そんなに難しい手続きではないので自信があれば自分でやってみるのも良い経験になるかもしれませんね。
調査の結果、家が建たないと判明したら残念ですがまともな金額、相場よりかなり低い金額じゃないと売れないと覚悟しておいた方が良いでしょう。
農地って大切なものですが不動産価値は低いんですね。
農耕民族たる日本人として悲しいことですが、売りにくい土地の代表例が農地になります。
接道義務を果たしているか
農地の次は道路です。
道路幅が狭くないか。
建物を建てるための要件として接道義務というものがあります。
建物を建てる土地に接する道が2m以上ないと建物は建てられません。
よくあるのは建て替えするつもりで購入した建物付きの土地。
そこに元から建っていた建物を解体し新しく建物を建てようとしても接道が2m未満しかなくて建築許可がおりないというケース。
もともと建物があった土地なのに
新しい建物が建てられない??
その建物が建った当時は適法でもその後ルールが変わって現在はその場所には建物が建てられないという状態ですね。
法律には遡及効というのがあって「過去に遡って効果がある」かどうかが細かく決まっています。
この場合は不遡及、遡って効果はありません。
つまり建った当時は問題ありませんでした。
その後、建ち続けているのも問題ありません。
でも新しく建て替えるなら「問題あり」、現行のルールに従ってくださいというものです。
こういった既存不適格物件、再建築不可物件は通行の便もあるでしょうが、それ以上に有事の際、緊急車両が通れないと困るのでこういうルールが作られました。
家族が倒れたのに道が狭くて救急車が通れない。
火事が起こっているのに消防車が入ってこれない。
そんなことが起こったら大変ですよね!
そういうわけで現在のお家は最低でも幅2mの道路に接している必要があります。
2m未満の場合、再建築不可物件といって普通、売りものにはなりません。
お隣が買ってくれるぐらいしか可能性ないんじゃないでしょうか(;・∀・)
不動産価値を決める要素
主な建物が建たない物件は上の通りです。
他に不動産の価値を左右するものは”立地条件”ですね。
立地が良いに越したことはないんですけど、立地が悪い物件てどんな物件でしょうか?
いくつか挙げていきます。
当てはまるものがあればどんどん値下げですよ!!
道は広いか
売る予定の不動産、その前の道幅はご存じですか?
売れる不動産は道幅6m以上が目安、最低でも4m以上は欲しいところです。
4m未満だとセットバックが必要ですし、単純に車が通りにくいので好んでその物件を買おうとする人はいません。
さらに2m未満の場合は上の接道義務の通り、売却そのものが難しくなります。
「値段云々以前に値段が安ければ誰かその土地を買うのか?」という話です。
建物が建たないその物件を。
接道は不動産価値を決める要素の中でも占めるウェイトが大きくなります。
基本的には接道幅が6m以上あれば問題ありません。
4m以上でもまあなんとか。
新規分譲地なんかでは6mにしているところが多いです。
接道条件が悪い場合はもう一度その値段のままで売れそうか考えてみましょう。
その他ネックはないか
日当たりが悪い・交通量が多い・近隣に迷惑な住人がいる…。
数えていけばキリがないですが、これらも不動産価値を下げる要素になります。
上で挙げた例に当てはまるものがあれば値下げを検討しましょう!!
売れやすくするポイント
マイナス要素ばかり書いてきましたが適正価格を見つけるためには売り主が自分の商品のマイナス面を理解していることが第一歩になります。
次に値下げ以外で少しでも売れやすくする方法をいくつか例示していきますね!
不動産屋へテコ入れ
売れない不動産を少しでも売りやすくするには不動産屋との情報や意識の共有をすることです。
そのために販売してくれてる不動産屋へ定期的に連絡を入れること。
意外とこれをやってる人ってあんまりいないので競合との差別化になります。
「定期的に」です。
月に1回とか約束の期限がきたら1回とか。
毎日連絡してたら嫌がられますし最悪、募集してくれなくなるので気をつけましょう。
で、不動産屋へ連絡して何を伝えるのか?
- 問い合わせ状況
- 販促活動の提案
- 期限の設定
まずは問い合わせがきているか聞いてみましょう。
問い合わせがあるならなぜそこから成約につながらないのか。
何度か問い合わせがあれば何が買い主に購入を止めさせているかを考えます。
問い合わせがきていないなら販売促進のために何か行動をしてもらってください。
チラシを刷って周辺を一通り回ってもらう。
広告内容を確認して表現を変えてもらう。
色々と不動産屋にできることはあるはずです。
不動産会社や担当営業に仲介手数料以外にお礼を約束するのも悪くないかな?
それで少しでもやる気を出してくれるのなら。
最後に期限ですね。
締め切りを設定しておきましょう!
いついつまでにこれをやってみる、成果が出なかったら次はこれを試してみる、という風に期限を設けると活動にメリハリが生まれます。
売れない物件を少しでも売る工夫、それを不動産屋と考えていきましょう!
条件交渉に応じる準備
購入を迷っている買い手に最後の一押しがほしい。
そんな時のために準備をしておきましょう。
価格の上乗せ
最後の一押しでポピュラーな手段は値下げです。
「値下げ」ばっかりですみません 笑
これは例えば1000万円で売りたい物件があるとします。
で、あらかじめ上乗せした価格を設定しておくんですよ。
この場合だと1100万円とか1200万円とか。
そして購入を迷っている人がいたら、
「今決めてくれるなら1100万円のところを1000万円にします!」と提案します。
もともと1100万円で迷っていた人です。
100万円安くなるなら購入意欲が湧きそうじゃありませんか?
迷っている背中をグッと押してあげる効果的な手段です!
簡易リフォームをサービスする
売り主に負担がかかるという意味では値下げと一緒ですが数十万円規模のリフォームを引き渡す前にしてあげる。
リビングの床や壁を貼りかえるとかですね。
リフォーム以外でも敷地内の建物を解体するとか現状渡しの物件を解体したり清掃したり。
土地なら除草作業も良いですね。
やることはなんでも良いんですけど相手が喜びそうなサービスであることが望ましいですね。
買い主が購入の決め手にするような。
昔、筆者が仲介した売り主さんで成約になったら手作りケーキを焼いて買ってくれた人にプレゼントすると言ってた方がいらっしゃいました。
やめてもらいましたけどね。
それをもらって喜ぶ人は少ないだろうと思って 笑
(生地?スポンジだけでデコレーションどころかクリームもついてないようなケーキでした)
以上、売れない不動産を売りやすくする方法でした!!
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