こんにちは。
先日、ずっと追いかけていた漫画「違国日記」の最終巻が出ましたので感想を書いていきます!
コミックは先日完結してしまいましたが2024年には監督 瀬田なつき、主演 新垣結衣で映画が公開されるとのこと。
本作の最大の魅力は登場人物のキャラ設定や台詞がリアルかつ魅力的なこと。
本当に実在してそうな臨場感あふれる会話が繰り広げられます。
なんで作品に入り込みやすいんですよね。
読者レビューに「登場人物に共感できる」という声が多かったんですが納得です。
そんな「違国日記」を語りたいと思います。
まずは作品概要から。
出 版 社 祥伝社
著 者 ヤマシタトモコ
連載期間 2017年~2023年
本作著者のヤマシタトモコさんは「さんかく窓の外側は夜」の著者でもあり、こちらの作品でご存じの方も多いかと思います。
”さんかく窓の外側は夜”では超常現象なんかも出てきましたが、”違国日記”は簡単に言うと親子ほど年齢の離れた2人の女性が共同生活を送る物語。
日常モノです。
だからこそリアルです。
あらすじ
小説家の高代槙生と中学卒業を目前に控えた田汲朝。
叔母と姪の関係でありながらほとんど面識はない2人。
事故で両親がいなくなった朝を引き取ることにした槙生。
互いに距離感をはかりかねつつも共同生活の中で徐々に理解を深めあっていく。
といった感じ。
話の流れは1話目はダブル主人公の1人、田汲朝の高校3年時を描写し、2話目以降で中学卒業時に戻ってそこから高校卒業までにあたる3年間を追いかけていきます。
物語全体が朝の高校生活の日記になっているという構成。
タイトルの意味は初めのうちは朝から見た槙生からでしょうか。
劇中にそのまま朝が槙生のことを「違う国の人みたい」と評するコメントがあります。
あと朝が槙生に言われて日記をつけていることも。
話数の数え方も第1話、第2話のところを“page.1”、“page.2”としていて全体的に日記仕立てにしているみたい。
それも話が進むにつれ違う見方も出てくるので興味ある方は読んでみてください。
前に作者のインタビュー記事みたいなのを読んだんですけど、1話目の時点では先のことは何も決めてなかったそうです。
これには驚きましたね。
初期構想時点でだいたいの構成が決まってるものかと思ってました。
1話から最終話までがホントきれいにまとまってるので。
登場人物
田汲 朝
主人公の1人。
ストーリーが動き始める2話目時点で中学3年生。
違国日記は田汲朝と高代槙生のW主人公。
ただ物語のほとんどの時間軸がダイレクトに朝の高校時代であり、かつ本作が彼女の探求物語であること、単独で単行本の表紙を飾った機会を考えると彼女の方がメインなのかもしれない。(最終巻は朝&槙生ではなく朝のソロショット!)
披露した相手が例外なく褒めるほど歌が上手い。
親友の楢えみりが「歌手になれば」と言うほど。
槙生と対比する設定が多く視覚的に年齢差を表す為か高身長の槙生に対して小柄。
高身長に憧れているが年齢的に難しそう。
性格はおおらかで社交的、えみり曰くビビり。
高代 槙生
主人公の1人。
小説家。
作中で朝が中学3年生の時に35歳。
発達障害と思われる。(発達障害は本作のテーマとのこと)
ただし槙生本人にその自覚があるかは不明。
作中では「発達障害」という単語自体、朝との会話でえみりが発するのみで他では出てこない。
言葉遣いにこだわりが強く朝の言動を注意する描写が多い。
友人や仕事仲間に注意しないあたり、こだわりというより単に槙生にとって朝がそういう(注意するべき、言いやすい)存在なのかもしれないが。
電話が苦手で他人との交流に苦手意識がある。
人に優しくありたいとは思っている様子。
高代 実里
朝の実母にして槙生の実姉。
物語開始時点で故人。
年齢不詳、槙生を5学年下と言っているがよくわからない。
実里の学年が遅れていたと話があり、単純に槙生の5歳上とは限らない。
姓について「高代」と実名報道されていたが夫とは内縁関係で周囲には朝と同じ「田汲」を名乗っていたと思われる。
しっかり者の裏で人目を異常に気にする。
健康状態に対する不安の表れだろうか。
妹にあたる槙生とは犬猿の仲。
互いに思うことはあったようだが実里が亡くなるまでに仲が戻ることはなかった様子。
その為、朝と槙生は実里が亡くなるまでお互いの存在は知っていたものの話をしたことはなかった。
笠町 慎吾
槙生の元恋人。
槙生から朝を引き取ることの相談を受けた為、槙生と再会する。
異常に良い人。
槙生視点でも作者視点でも都合の良すぎる存在。
能力も高いようで醍醐からはピラミッドの頂点にいる人間と評されている。
人格者ゆえか周囲からナメきられている。
朝や醍醐からの扱いは失礼そのもの。
朝が笠町に対して行った行為の中には訴えられかねないレベルのものがある。
感想
この漫画の何が面白いっていうのは説明しにくいですね。
日常ものですし、槙生が朝を引き取ることになった原因以外はその辺にありそうなエピソードばっかりで。
何気ない日常に潜む喜びや悲しみを気づかせてくれる的な?
あとは台詞やキャラクターが魅力的。
朝と槙生、朝とえみりの関係性とか大好きです。
アバウトですけど雰囲気が良い感じ。
そんなわけで誰でも彼でも楽しめるってわけではないですね。
興味ある人は試し読みしてからの方が良いのかな。
電子版だとけっこう長いこと1巻だけとか数巻分だけとか無料で読める状態になってるんで。(祥伝社イチオシなんだろうか)
作中の男性表現に違和感
えー、全編通して気になったのはPage.32の男性回、作者かその周りの男性観なんでしょうけどハッキリ言ってだいぶズレてます。
「その場面でそんな感想出るか?」っていう。
他の話が良いだけにすごい惜しい。
無理やり入れたのかここだけ違和感がすごい。
最終話までおんなじテンションでいってほしかったな。
詳細は本編で読んでもらうとして、何だろう女性が勝手に妄想してる男性社会って感じ。
作り手視点で都合のいい男性像なのかなあ。
あと同じ回に出てくる医大受験不正問題。
前に女性の医学部受験生の配点を低く採点してたことが発覚してニュースになったやつですね。
ある登場人物にフォーカスして女性全体の問題みたいに言っててこっちはその後も話に絡んでくるんですけど。
作中の言い方はどうでしょうね~。
言ってしまえば医療や軍属、あるいは警察や消防って他の職業では比較にならないぐらい本当に重要で特別ですもんね。
筆者は医者じゃないし医療関係の仕事をやったこともないんですが、普通に生きてりゃ医療現場なんてものがどれほど過酷かは想像つきます。
男と女では扱いが違うってのはわからないではないんですけど。
体力面とキャリアに産休・育休がある可能性が高い時点で女性より男性をと考えるのはごく普通では?
性差別だと一言で片付く問題ではないでしょう。
もひとつこの話題でスポットが当たる登場人物は「両親が医者だから医者志望」と言ってます。
そんな家庭環境で報道が出るまで噂にでもこの話知らなかったんだろうか。
何十年も前から有名でしたけどね。
筆者の同級生で医学部受験した人たちは「どこどこの大学は女取らないから受けない」とか、「合格者の上位半分以上の得点が必要」とか話してましたよ。
あくまで噂の域を出ませんでしたが公然の秘密みたいな。
以上、違国日記のススメでした。
何が面白いのか分からないって人も少なくないと思うんですが、筆者は日常系という括りではこの数年で1番の当たりでしたね。
ご興味ある方は是非1度ご覧ください!
コメント